哲学の誤読

タグ
サブタイトル
入試現代文で哲学する!
出版社
筑摩書房
出版年・月
2007年12月10日
カバー
共著者
形態
ちくま新書
notion image
notion image
 

内容紹介

哲学の文章は「誤読」の可能性に満ちている。すべてを人生や道徳の問題であるかのように曲解する「人生論的誤読」、思想的な知識によってわかった気になる「知識による予断」、「答え」を性急に求めすぎて「謎」を見失ってしまう「誤読」、そして新たな哲学の問いをひらく生産的な「誤読」…。本書は、大学入試(国語)に出題された野矢茂樹・永井均・中島義道・大森荘蔵の文章を精読する試みである。出題者・解説者・入不二自身・執筆者それぞれの「誤読」に焦点をあてながら、哲学の文章の読み方を明快に示す、ユニークな入門書。

目 次

第1章 「謎」が立ち上がる―野矢茂樹「他者という謎」(「答え」ではなく「問い」;「問い」というよりも「謎」 ほか)
第2章 “外”へ!―永井均「解釈学・系譜学・考古学」(解釈学;系譜学 ほか)
第3章 未来なんて“ない”―中島義道「幻想としての未来」(テーマ;概観 ほか)
第4章 「過去をいま引き起こす」ことはできるか?―大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」(私の読み方の強調点;「酋長の踊り」という話の紹介 ほか)
 
 
はじめに
・ きっかけ
・ 本書はどのような本か
・ 哲学と現代文
・ 本書の読み方
・ 各章横断的な問題
第一章 野矢茂樹「他者という謎」(二〇〇〇年 北海道大学)
・「答え」ではなく「問い」
・「問い」というよりも「謎」
・なぞなぞ
・他者という「謎」
・日常から哲学へ ?・?段落
・再び日常へ ?段落
・再び哲学へ ?段落
・「少しは分かる」の読み方
・「少しは分かる」の誤読
・疑いの回帰 ?段落
・疑いの深まり ?・?段落
・疑いの結果をさらに問う ?段落
・内面に隠されてある ?・?段落
・懐疑論のアポリア(難点) ?・?・?段落
・隠されてなどいない ?段落
・懐疑論は退けられたのか
・別の解釈の可能性
・解答不能な問四
・これから先
・問一と問三と問五の解答例
第二章 永井均「解釈学・系譜学・考古学」(二〇〇二年 東京大学)
・知識による予断
・人生論的誤読
・全体の概観
I 解釈学
・真の幸福という物語 ?段落・前半
・「彼ら自身」と「われわれ」 ?段落・中間
・解釈学的な生 ?段落・後半
・記憶の特権性 ?段落・前半
・解釈学的探究 ?段落・後半
II 系譜学
・系譜学的な視線 ?段落
・二つの時間表象 ?段落
・外部の再内部化 ?段落
III 考古学
・考古学的な視点 ?段落
・拒否される時間系列 ?段落
・幸/不幸の外部 ?段落
・「われわれ」と「彼ら」の反転
・二種類の他者
・実在の強度
・実在論と反実在論の組み合わせ
・考古学的な時間表象 ?段落・後半
・不可能な視線 ?段落
・設問(一)について
・設問(二)について ―二つの読み方の可能性―
・設問(三)について
・設問(三)解答例・解説へのコメント
・設問(四)について
第三章 中島義道「過去における未来」「仕事動詞と達成動詞」(二〇〇五年 早稲田大学・一文)
・テーマ
・概観
・私の読み方の強調点
・未来を過去と現在に還元する ?段~?段落
・私自身の誤読
・誤読の原因
・誤読の理(ことわり) あるいは?段落
・仕事動詞(task verb)と達成動詞(achievement verb) ?段落
・想起・知覚と予期 ???段落
・意味・文法上の現実性
・現実性の折り重なりと細分化
・想起と予期 ?段落
・予期の「外部」としての未来 ?段落
・未来の「予知」の無根拠性 ?段落
・反論 ?段落
・反論者は何者か
・再反論 ?段落
・再々反論
・再々々反論
・結論
・第三の立場
・永井と中島の対照
・設問について
第四章 大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」(一九九七年 名古屋大学)
・はじめに
・私の読み方の強調点
・「酋長の踊り」という話の紹介 ?段落前半
・「酋長の踊り」の現代版 ?段落後半
・過去を「変更する」のではない ?段落
・二つの信念(思い)の衝突 ?段落
・比喩 ?段落
・過去自体・物自体 ?段落
・表現の不整合、あるいは私の誤読
・「妄想」としての過去自体・物自体 ?段落
・想起と物語と真理条件 ?段落
・「制度化された物語」としての過去 ?段落・?段落
・「妄想」としての過去自体・物自体 ?段落・?段落
・「酋長の踊り」の解決法 ?段落・?段落
・二つの過去の捉え方 ?段落
・「錯覚」の原因 ?段落
・実在論批判 ?段落
・「酋長の踊り」再考
・「酋長の踊り」と「物語制作論」の違い(1)
・「酋長の踊り」と「物語制作論」の違い(2)
・「過去物語」に回収できない過去
・設問について
あとがき