

内容紹介
「すべて」と「無」は一致する。私は強力で特異だからこそ、無と化していく。独我論から私的言語論まで、正反対のものが折り重なる不思議な世界に分け入る。
目 次
序章 不二の法門に入る―補助線として(この本のテーマ;正反対の一致 ほか)
第1章 独我論―「限界」としての「私」とは何か(『論理哲学論考』―自らを消し去るべき本;いわゆる独我論 ほか)
第2章 無主体論―独我と無我は一致する(いわゆる無主体論;ウィトゲンシュタインの無主体論 ほか)
第3章 私的言語論―「ない」ままで「あり」続ける「私」(私的言語とわれわれの言語;私的言語への接近とその不全 ほか)
序章 不二の法門に入る-補助線として
- この本のテーマ
- 正反対の一致
- 不二の法門に入る
- 維摩の沈黙
- ことばと沈黙
- さとりとおおぼけ
第1章 独我論 ―「限界」としての「私」とは何か
- 1. 『論理哲学論考』―自らを消し去るべき本
- 『論考』の全体像
- 「独我論」の位置
- 2. いわゆる独我論
- 反転図形
- 素朴な実在論といわゆる独我論
- いわゆる独我論と『論考』の独我論
- 3. 徹底された独我論
- 二つの「私」
- 第一の比喩―「私が見出した世界」という本
- 第二の比喩―眼と視野
- 「限界」という概念
- 「私」の昇華
- 「私」の解体
- 独我論と実在論の一致
- 4. 独我論は示されうるか
- 語ること=写像すること
- 「思考」の二重性
- 独我論が示されるところ
- 示されえない独我論
第2章 無主体論 ―独我と無我は一致する
- 1. いわゆる無主体論
- 非人称表現
- 直接経験
- デカルト的なエゴの消去
- 2. ウィトゲンシュタインの無主体論
- 独我論としての無主体論
- 独我論と行動主義
- 独我論の葛藤
- 経験から文法へ
- 言語内的な無主体論
- 3.独我論と類比
- 所有物・感覚・固有性
- 類比的な移行
- 独我と無我
第3章 私的言語論 ―「ない」ままで「あり」続ける「私」
- 1. 私的言語とわれわれの言語
- 私的言語の「定義」
- われわれの一致
- 2. 私的言語への接近とその不全
- 表出なき「痛み」
- 「感覚日記」
- 「感覚日記」批判
- 「感覚日記」批判の空転
- 言語ゲームの無根拠性
- 3. 私的言語は可能/不可能なのか
- 私的言語のディレンマ
- ディレンマの反復
- 私的言語の消去と遍在
- ウィトゲンシュタイン小伝
- 読書案内
- あとがき